肥満型の2型糖尿病の病態解明

ちは。

インスリン感受性の悪化の支配的な原因は肥満(脂肪過多)と言われています。
何でそうなるかは、よく解っていなかったのですが、何となく解ってきたという話です。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S155041311100043X

↑は、「Cell Metabolism」という雑誌のWeb版で、ここに天下の昌平坂学問所(東京大学)の論文があります。
(タイトルは、Impaired Insulin Signaling in Endothelial Cells Reduces Insulin-Induced Glucose Uptake by Skeletal Muscle)

読むだけで頭が痛くなりますが、理解しようとすると更に痛くなります(笑)
そこで、私が流暢な日本語で簡単に説明しますと、

デブになると血管内皮細胞のインスリン受容体基質(IRS2)の発現が低下します。
そうすると、食後にインスリンが分泌されても血管内皮細胞のeNOS(一酸化窒素合成酵素)が十分に活性化されず、毛細血管の拡張が起こらず、筋肉へのインスリン移行ができないために、インスリンによる糖取り込みが低下してしまうということらしいです。
要するに、毛細血管が広がらずインスリンが筋肉まで届かないということです。

↑の実験では、IRS2の発現が低下している高脂肪食肥満マウスにベラプロストナトリウム(血管拡張剤の一種)を投与したところ、eNOS(一酸化窒素合成酵素)が活性化した結果、毛細血管が拡張し、筋肉へのインスリン移行が回復し、インスリンによる糖取り込みが改善したとあります。

血管拡張とNO(一酸化窒素)との関係は、過去記事で書いたことがあるのですが、簡単におさらいしますと、
NOが産生されることにより、グアニレートシクラーゼが活性化され、それによりcGMPが上昇し、更に細胞内から細胞外にCa2+が流出し、その結果、血管平滑筋が弛緩し、血管が拡張します。
NOの産生レベルが低下すると、動脈硬化のリスクが高まったり、高血圧になったり、ED(勃起障害)になったりします。
NOは、L-アルギニン(アミノ酸の一種)を基質として、eNOS(一酸化窒素合成酵素)により生成されます。
つまり、eNOSが活性化しないとNOが産生されないので、血管が拡張しないのです。

まぁ、結局、この論文から何が言えるかと言いますと、
「インスリン感受性が悪いだけのデブ糖尿病は、とりあえず痩せれば治る」
ということです。

つまり、「デブは痩せろ。話はそれからだ。」ということです(笑)

とは言え、当ブログで何度も指摘していますように、運動なし(とりわけ筋トレのようなレジスタンス運動なし)で痩せると、確実に筋量も減ります。
我々の口から入った糖分というのは、その7割から8割は骨格筋で吸収されるのです。
つまり、筋量が減るということは、血糖を吸収するキャパシティが減るということです。
ただのダイエットでしたら「リバウンドしちゃった!」で済みますが、糖尿病の方の場合、リバウンドはそのまま病気の再発、または悪化につながります。
「脂肪を減らしながら筋量を増やす」というのは、唯一完治への道なのです。



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コメント

けず

いつもデブ糖尿のためのステキな情報ありがとうございます(笑)
実践すると言う訳でなく知識の一つとしてお聞きしたいのですが、
例えばBMI標準から+30キロの糖尿デブが食事制限だけで筋トレせずにダイエットしBMI標準にした場合でも、その時点においてはインスリン感受性は改善されているのですか?

2013/02/08 (Fri) 10:57 | 匿名のモヤシ #- | URL | 編集
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2013/02/08 (Fri) 11:06 | # | | 編集
Re: けず

けずさん、こんちは。

少なくともこの論文からすれば、インスリン感受性の悪いだけのデブは痩せれば治ると思います。
但し、この論文からは、どこまで痩せれば治るか?ということは解らないんですね。

恐らくBMI標準まで痩せなくても改善できると思います。
そうじゃなかったら、BMI標準を超えるデブは、いちいち糖尿病になってなくちゃいけませんよね(笑)

ただ、デブの場合は、改善してからが勝負なのです。
例えば、そこそこ痩せてインスリン感受性が改善したとします。
そうすると血糖値は正常に戻ります。
(インスリンによって骨格筋が糖を吸収し出すから。)
改善したということは、どういうことかと言いますと、今まで忘れられていた身体の中の同化作用が再び機能し出すということです。
つまり、放っておけば、また太り出す。
改善→悪化を繰り返すデブというのは、このパターンだと思います。

やはり、デブは元から絶たなきゃ駄目なのです(笑)

2013/02/08 (Fri) 18:00 | 王城 恋太 #- | URL | 編集

筋肉は糖尿病を完治さすを信じて本当に100%断薬に成功しました。見た目ユニクロのXLが素敵に似合う58歳なのですが、自重90kgです。
現在朝食はヨーグルトに果物+ハチ花粉、昼はツナ缶水煮
夜は食べたい物を食べてます。85kg位には絞りたいです。

2013/02/09 (Sat) 08:03 | スキンヘッド #Bm7MIwtI | URL | 編集
Re: タイトルなし

スキンヘッドさん、こんばんは。

ほんと素晴らしいですね。
糖尿と高血圧、ダブルで克服されたんですよね。

今度、ルンピニーのナイトバザールで全快祝いしましょう!
その後はパッポンへ!(笑)

2013/02/09 (Sat) 21:59 | 王城 恋太 #- | URL | 編集

既にルンピニナイトバザールは閉鎖されています。
新しい場所に別のナイトバザールがあります。
一度お仲間とタイ観光にいらして下さい。

2013/02/10 (Sun) 11:34 | スキンヘッド #Bm7MIwtI | URL | 編集
Re: タイトルなし

スキンヘッドさん、こんばんは。

> 既にルンピニナイトバザールは閉鎖されています。

マジですか!?

ルンピニースタジアムでムエタイを見て、ナイトバザールで飯食って、その後パッポンというのが定番でした(笑)
タイへ行った時はよろしくお願いします(笑)

2013/02/10 (Sun) 18:31 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
ランダムスタディでも差が出るらしいですね

医学的エビデンスとしても、筋トレは有効なようですね。
Resistance training and older adults with type 2 diabetes mellitus: strength of the evidence.
Hovanec N, Sawant A, Overend TJ, Petrella RJ, Vandervoort AA.
J Aging Res. 2012;2012:284635.

2013/02/11 (Mon) 11:43 | TY #- | URL | 編集
Re: ランダムスタディでも差が出るらしいですね

TYさん、こんにちは。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22988507

これですね。

年取ると足腰から弱って行きますからね。
そうなる前に、少しでも鍛えていくことは必要だと思います。

2013/02/11 (Mon) 17:25 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
王城様

突然書いちゃって失礼しました。王城さんこんにちわ。
HbA1が7をこえTGが500をこえて、さすがにヤバいと、王城さんと全く同じ考えで、ぜったい筋肉で代謝してくれるはずだと奥さんに内緒で筋トレはじめましたが、この間はHbA1=5.8で、TGもLDLも下がり、HDLは、何と正常値を超えてしまいました。1年ほど頑張って、In bodyでは、102%の筋肉量があり、もはや、普通の方より筋肉がついたようでしたが、実は、度胸が無くて薬辞めないでいます。低血糖はありません。
王城さんの症例はたいへん勇気づけられますが、医学系のガイドラインにのせるにはダブルブラインドのコホートがあると、ベストだと思います。試験管のデータはなかなか相手にされません
医学中央雑誌では日本語ではろくな論文が無いみたいで、筋トレの論文他にご存知ありませんか?

2013/02/12 (Tue) 11:30 | TY #- | URL | 編集
Re: 王城様

TYさん、こんばんは。

奥さんに内緒でって、何か悪いことしてるみたいですね(笑)

ところで、私が糖尿病になって筋トレ理論を組み立てた時、いろいろ探しましたが、なかなかないですね~。
筋トレでダブルブラインドということ自体が難しそうですが、似たようなもので有酸素運動と筋トレという比較はあったような気がします。
ただ、この研究の駄目だった点は、筋トレの強度が解らなくて、週何時間みたいな感じだったと記憶しています。

糖尿病を離れると、ブログでも紹介してますが、ラットを使った高強度運動でGLUT4の発現が増えたみたいな実験はあります。

ま、しかしですね。
1.糖の7~8割は骨格筋が吸収する。
2.GLUT4の発現はインスリン分泌か筋収縮
という、この2つの事実だけからしても、余程の馬鹿でもない限り、筋量を減らすんじゃなくて増やそうと考えますよね?(笑)

2013/02/12 (Tue) 23:47 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
筋肉量

お返事ありがとうございました。スポーツクラブ安くはないので、黙って入れば奥さんに怒られてしまうのが辛いのですが、結局家に請求書が来てバレバレでした。
糖尿病の人の方が筋肉量が少ないと言う論文は見つけましたが、原因なのか結果なのか・・・?
とにかく、今日も頑張ってこれからジムへいこう

2013/02/13 (Wed) 20:51 | TY #HXm2Vybg | URL | 編集
Re: 筋肉量

TYさん、こんばんは。

奥さん、厳しいですね(笑)

> 糖尿病の人の方が筋肉量が少ないと言う論文は見つけました

その論文は、理学療法科学 27巻3号「男性2型糖尿病者における筋量と血糖コントロールに関する検討」という論文ではないですか?
実は、次回の記事で紹介しようと思ってました。

私の推論では、糖尿病になって異化が亢進し、筋量も減ってしまうのではないかと思います。
何しろ筋グリコーゲンが吸収できないんですから、筋肉が衰えることはあっても発達する訳がないですよね。
その上、糖質制限なんか始めた日には、モヤシ一直線です(笑)

私が糖尿病になって筋トレを始めた時、かなりのブランクがあったにせよ、以前やっていた頃と比べ、格段に筋力が衰えていたことに愕然とした覚えがあります。
昔の半分の重量もできませんでした(笑)

2013/02/13 (Wed) 22:00 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
筋肉量が減ってる・・・がああん!

お返事ありがとうございます
昨日、ジムでin body検査したら、前回より筋肉が減っていて愕然! タンパクが足りなかったか?・・・ 王城さんのブログを見て、先週から食事に気をつけ始めた段階なので。

筋肉量の論文はいろいろありますが、どれもNがも一つかなあ・・良い論文あったら教えてくださりませ。

2型糖尿病患者における上下肢筋肉量と筋力
シソーラス用語:Insulin(治療的利用); 運動療法; *下肢筋; *上肢筋; 食事療法; *糖尿病-2型(治療); 握力; *筋力; 体脂肪率
チェックタグ:ヒト; 中年(45~64); 高齢者(65~79); 男; 女
Abstract:骨・関節疾患、運動器疾患のない50歳代~70歳代の2型糖尿病患者58名(男25名、女33名、平均67.6±8.6歳)、同基準の非糖尿病者55名(男24名、女31名、平均68.6±8.1歳)を対象に、筋肉量、筋力を測定し検討した。年齢、身長、体重、BMI、体脂肪率に両群に有意差はなかった。糖尿病女性の握力は非糖尿病女性に比べ有意に減弱していた。筋力は上肢・下肢共に非糖尿病者との間に有意差はみられなかったが、筋力の低下、特に女性における上肢筋力の著明な低下がみられた。高齢の女性2型糖尿病患者においては上腕骨を含む骨折が多いことの報告もあり、上肢の筋力低下が関わっている可能性もあり、上肢における筋力の維持・増進を考慮した日常のケアが必要と思われた。

2013/02/14 (Thu) 17:57 | TY #HXm2Vybg | URL | 編集
Re: 筋肉量が減ってる・・・がああん!

TYさん、こんにちは。

筋肉がついてくると、ちょっと食べる量が減るとすぐに体重が落ちてしまいますね。
食べる量、特にタンパク質量は重要です。

プロテインの摂取量を増やすと、筋量も増えます。
(もちろん、筋トレするのが前提ですが)

2013/02/15 (Fri) 15:01 | 王城 恋太 #- | URL | 編集

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