2型糖尿病は可逆的か?【β細胞機能の正常化を実現した研究論文】

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ちはっす。

2型糖尿病は、慢性的な進行性の病気であり、不可逆的なβ細胞不全と考えられて来ました。
それ故、改善は可能であっても完治はできないと、長い間考えられて来ました。

以前に書いた記事、

糖尿病完治から5年が経ちました!

の中でも触れました様に、巷の糖尿病サイトやブログでは「ひとたび機能不全に陥ったβ細胞は回復できない故に、糖尿病は完治できない。」と言います。

しかしながら、この認識が正しくないということは、更に以前の記事、

インスリン分泌不全とβ細胞機能不全の改善は可能か?

の中で紹介した、米国糖尿病学会の論文を読めば解ります。

β-Cell Deficit and Increased β-Cell Apoptosis in Humans With Type 2 Diabetes
(2型糖尿病のヒトにおけるβ細胞機能不全とβ細胞死の増加)


肥満型の非糖尿病被験者と2型糖尿病被験者、痩せ型の非糖尿病被験者と2型糖尿病被験者との間にβ細胞の複製頻度に有意差はなかった。

2型糖尿病の肥満症例ではアポトーシスの頻度は約3倍に増加し、 2型糖尿病の希な症例では、それぞれの対照群に対して10倍増加した。

肥満型および痩せ型の2型糖尿病患者では、相対的なβ細胞量が同年齢および同体重に相当する非糖尿病者と比較して減少する。
空腹時高血糖を有するヒトでは相対的なβ細胞量が減少しており、これが初期のプロセスであり、2型糖尿病の発症において機構的に重要であることが示唆される。
β細胞量の減少のメカニズムは、β細胞のアポトーシスの頻度の増加に帰するが、新しい島の形成の速度は影響を受けないと考えられる。
したがって、2型糖尿病の予防は、β細胞アポトーシスの頻度の増加を避ける戦略が最も合理的であるということである。
また、2型糖尿病の人では、この3倍から10倍に増加したアポトーシス速度の阻害は、膵島新生が損なわれていないので、β細胞量の回復につながる可能性がある。



つまり、健常者と2型糖尿病患者ではβ細胞の再生・増殖能自体に差はなく、β細胞のアポトーシス(死滅)の差により、糖尿病患者のβ細胞の委縮が進行して行くということです。

β細胞の再生・増殖能自体に問題がないとするなら、アポトーシスを阻害すれば、再びβ細胞は増殖に転じ、これまで不可逆的だとされていた糖尿病は、実は可逆的で完治可能であると言えます。

ちなみに、厳密に言うと「糖尿病」という疾患そのものに対し、可逆的とか不可逆的というのは表現として正しくなくて、「糖尿病等の疾患による身体の状態の変化」が、可逆的か不可逆的か、というのが正しいです。
この場合で言えば「β細胞の機能不全による委縮が可逆的か不可逆的か」ということです。
正にこれが「不可逆的である」とされて来た故に「糖尿病は完治できない」ということになっている訳です。

では、一体何がβ細胞のアポトーシスを亢進させ、何が阻害するのか?
また、アポトーシスの阻害をするには、どうすればいいのか?

という問いに対するヒントと答えが、欧州糖尿病学会が発行する学会誌・Diabetologia に掲載された論文に紹介されています。

Reversal of type 2 diabetes: normalisation of beta cell function in association with decreased pancreas and liver triacylglycerol


2型糖尿病は、慢性進行性の病態であり、改善は可能であるが治癒はできないと長い間考えられてきた。
β細胞の機能は時間と共に直線的に減少し、10年後には50%以上の人がインスリン療法を必要とする。
β細胞量は2型糖尿病の経過中に着実に減少する。

しかしながら、2型糖尿病は、肥満手術後に明らかに可逆的である。
適度なエネルギー制限によって2型糖尿病の血糖管理の改善が実証されている。
(*)

(*)The control of diabetes mellitus (NIDDM) in the morbidly obese with the Greenville Gastric Bypass.

我々の研究は、急激なカロリー制限がβ細胞機能とインスリン感受性の両方を正常化することによって、2型糖尿病を逆転させる(β細胞が正常化する)という仮説を試験するために計画された。
我々は、第1相および全インスリン応答ならびに肝臓および末梢インスリン感受性の回復を調べた。
さらに、観察された結果の機能的根拠を調べるため、膵臓および肝臓の脂肪含量の変化を定量化した。



という訳で、糖尿病歴4年未満のデブ、11人(男性9人、女性2人、49.5±2.5歳)と、9名の対照参加者(男性7名、女性2名、年齢49.7±2.5歳、同程度のデブの健常者)が集められ、1日600kcalのカロリー制限食を8週間に渡り行い、結果を調査しました。

そして結果は、と言いますと、


この研究は、2型糖尿病の基礎となるβ細胞不全およびインスリン抵抗性の双発欠陥が、急性の負のエネルギーバランスだけで逆転され得ることを実証する。
低エネルギー摂取の最初の7日間では、空腹時血糖および肝インスリン感受性は正常に低下し、肝脂肪は30%減少した。
食事のエネルギー制限の8週間にわたって、β細胞機能は正常に向かって増加し、膵臓脂肪は減少した。
介入試験後、参加者は12週間にわたって体重が3.1±1.0kg増加したが、膵臓および肝臓の脂肪含量が増加しない限りHbA1cは安定したままであった。
このデータは、2型糖尿病の基礎となるインスリン分泌およびインスリン抵抗性の異常が、共通の病因、すなわち、肝臓および膵臓における過剰脂質蓄積を有するという仮説
(*)と一致する。

(*)Pathogenesis of type 2 diabetes: tracing the reverse route from cure to cause.

本研究は、ヒトにおける2型糖尿病のβ細胞欠損が持続的な負のエネルギーバランスによって可逆的であることの最初の直接的証拠である。
ヒトにおける血中脂肪酸の長期上昇はインスリン分泌を減少させ、膵臓脂肪含量と2型糖尿病との間に関連があることが以前から示されている。
げっ歯類における自発的糖尿病の発症に先立ち、総膵臓脂肪および膵島中性脂肪含量が急激に増加する。
β細胞の慢性的な飽和脂肪酸曝露はグルコースに対する急性インスリン応答を阻害し、脂肪酸の除去はこの応答の回復を可能にする。


この研究は、2型糖尿病患者の食事摂取量の急激な制限によるβ細胞機能の正常化および肝臓グルコース産出の復帰の時間経過を初めて明らかにする。
変化は、膵臓および肝臓の脂肪減少と関連して起こった。
この新しい洞察は、個体および集団における2型糖尿病の因果関係の理解を可能にする。



骨格筋のインスリン抵抗性は、血中の遊離脂肪酸濃度を上げ、内臓脂肪を貯まりやすくし、肝臓に貯まった脂肪は肝臓のインスリン抵抗性を惹起し、膵臓に貯まった脂肪はインスリン分泌不全を起こし、β細胞のアポトーシスにつながる、ということです。

この研究では、急激なカロリー制限(600kcal/日)により、結果的に内臓脂肪が減り、β細胞の回復につながった訳です。

つまり、

デブは痩せろ。話はそれからだ。

という格言は、やはり正しかったということです(笑)

但し、この論文によれば、内臓脂肪の過多というのは、必ずしもBMIと相関がある訳ではなく、痩せている人にも存在します。
特に、ひとたびインスリン抵抗性が惹起されると、血中の遊離脂肪酸濃度は跳ね上がり、全身が脂肪酸に晒され、異所性脂肪や内臓脂肪が形成されます。

痩せ型の人は、急激なカロリー制限などできませんから、運動と食事(飽和脂肪酸摂取を控える)ことで対応するしかありません。

いずれにせよ、β細胞の機能不全による委縮というのは、不可逆的なものではなく、アポトーシスの阻害によりβ細胞は増殖し、正常化するということで、可逆的である、とうことです。

よって、2型糖尿病は、適切な治療により完治できるのです。



o-Method

2型糖尿病の完治を目指す会

糖尿病の完治を目指す人と完治した人が集まってます。


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おまえら、たまにはここで何か買って下さい。


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Theme: 糖尿病 | Genre: 心と身体

コメント

食後高血糖防止のためのスクワットのタイミング

こんにちは。
いつもお世話になっております。

筋トレを始めて4日ほど経ち、大して負荷もかかっていないはずなのに今日は全身筋肉痛です(汗)

ところで、以前の記事で、「高強度筋トレを始めるとデブはことごとく血糖値が上がらなくなるが、痩せ型の人はなかなか効果が出ない場合がある」と書かれていましたが、まさにそのとおりで、相変わらず食後高血糖に悩まされております。
(といっても、まだ全然強度が高くないので当然かもしれませんが)

今日など、昼食に全粒粉スパゲティを100g食べたところ、30分値が165、1時間値が195と爆上がりしてしまいました。
ここまで上がったのは久しぶりです。
(1時間半127、2時間111と一応下がってはくれましたが)

「筋肉痛になるとシックデイと同じで血糖値が高くなる」と聞いたこともあるのですが、本当でしょうか?

以前王城様に「食後高血糖が気になるならスクワット等をして下げてみては」とアドバイスをいただいたのですが、スクワットは食後何分(食べ始めてから何分)ぐらいから始めればよいでしょうか?
30分ですでに165まで上がっているので、30分より前に始めなければいけないでしょうか?

お忙しいところ、細かいことをお尋ねしまして申し訳ありません。
お時間のある時にご回答いただければ幸いです。

2017/06/09 (Fri) 14:38 | 小百合 #dDI476zQ | URL | 編集
Re: 食後高血糖防止のためのスクワットのタイミング

小百合 さん、こんちは。

2時間111まで下がってるなら正常ではないですか。
心配ないと思います。

30分値が高いと心配しておられますが、3回も血糖値を測って直接的に血管を損傷しているのにも関わらず、30分値の血糖値で血管の損傷を心配するなど、本末が転倒しています。

血管の損傷を心配するなら、インスリンの作用が効かない方が余程深刻です。

慢性的な高血糖、高脂血、インスリンが効かないことによる同化作用の阻害(身体の修復がしにくくなる=血管の修復がしにくくなる)方が、よほど血管には良くないです。

ほとんど全てのカルトは、本末が転倒したようなことで人々の恐怖心を煽ったりしますから、その辺の理解をしっかり持って、カルトに騙されないように気を付けなければなりません。

2017/06/09 (Fri) 17:39 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
No title

玉城様おはようございます。
最初に私事で恐縮ですが、昨日の午後、仕事を早退して定期的の検査に行きました。
A1cが5.6%で食後約2h後の血糖値が97で私的に良い感じでした。
薬は4ヶ月ほど前から無くなりました。

>デブは痩せろ。話はそれからだ。
本当に仰る通りだと思います。
私は今でこそBMI22台ですが、糖尿発症の時は28台でした。
主治医から「内臓脂肪を減らし筋肉をつける事」と何度も言われました。
私の主治医は、玉城様と同じ考えです。
主治医は、常に筋トレの話をして筋肉の重要性を今でも熱弁してます(笑)
有酸素運動は「気晴らしになれば、やっても差支えないですよ」程度です。

先日から背中の筋トレも開始しました。
もう自重トレレベルでは、体が満足しない感じです(笑)
今、真剣にジム通いを考えています。

これからも、参考になる記事楽しみにしています。

2017/06/10 (Sat) 05:45 | ゆうた #mQop/nM. | URL | 編集
ありがとうございます!

早速のご回答ありがとうございます!

心配ないと言っていただけて安心しました。

「3回も血糖値を測って直接的に血管を損傷しているのにも関わらず、30分値の血糖値で血管の損傷を心配するなど、本末が転倒しています。 」
には笑ってしまいました。本当にそうですよね。
血糖値測定のために針を刺して血を出せば血管を損傷するという当たり前のことに全く気付いていませんでした。まさに馬鹿ですね(汗)

なにぶん、以前は糖質制限に傾倒していたものですから、血糖値が180を超えるとたちまち血管が損傷するとか(昨年放映の「NHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」では140と言っていましたが)、慢性的な高血糖よりも急激な血糖値の上下動の方がより血管へのダメージが大きいとか、食後2時間の血糖値が140以下でも1時間値が180を超えていると近い将来糖尿病になる可能性が高いとか、とにかく血糖値至上主義といいますか血糖値さえ低ければ良い的な情報が刷り込まれてしまっているので、1時間値195という数字にビビってしまいました(汗)

しばらく前までは、食後の血糖値ばかり気にして、豚肉を大量に食べたり、油やバターや生クリームをたっぷり使ったりしていたのですが、むしろその方が食後高血糖よりも膵臓にダメージを与えていたのかも…と悔やまれます。

私が糖質制限を始めたきっかけは、夫に「マンガでわかる糖質制限」というマンガをすすめられて読んだからなのですが、先に王城様のブログに出会っていれば…と思うと残念です。

でも、まだ手遅れではないと信じて、明日からまた筋トレをがんばります!

2017/06/10 (Sat) 10:42 | 小百合 #dDI476zQ | URL | 編集
Re: No title

ゆうたさん、こんちは。

その先生は、きっとこのブログの読者です(笑)

ジムは、自宅とはまた違った刺激があって良いかと思います。
どうせなら、マニアックなジムへ通うのも良いです。
カトちゃんのジムのような(笑)

2017/06/16 (Fri) 16:49 | 王城 恋太 #- | URL | 編集
Re: ありがとうございます!

小百合さん、こんちは。

マンガで解る糖質制限って、「誰でも苦労なくモヤシになれる!」というやつですよね?(笑)

モヤシ画像をアップして欲しいですね(笑)

2017/06/16 (Fri) 17:00 | 王城 恋太 #- | URL | 編集

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