糖尿病入門シリーズの続きです。
前回で、ついに膵臓のβ細胞は機能障害を起こし、果てはβ細胞が委縮して行くという、にっちもさっちも行かない状況になりました。
ここまで来ると、ほとんど糖尿病が治る可能性があるようには思えませんし、元亀元年信長包囲網のような状況です(笑)
ま、とは言え、どんな人でも糖尿病を発症すれば、一旦はここまでの状況にはなります。
慰めになってないかもしれませんが。(笑)
血糖値の上下というのは、数値を目で見て確認できるので判りやすいのですが、実はそんなものは数ある症状の一つに過ぎないのです。
では、ここから完治できる人とできない人では何が違うのか?
という問題へ行く前に、そもそも膵臓のβ細胞は再生または新生することができるのでしょうか?
これは、昔は「できない」ものと考えられていましたが、最近では新生できることが解っています。
前回の記事で紹介しましたように、β細胞はインスリン受容体・IRS2以下のシグナル伝達を介し、増殖することができます。(インスリンが必要だけど)
他にも、生後の成長期、妊娠、肥満、インスリン抵抗性等の反応によって増殖します。
生後の成長期に増殖するというのは解るとしても、妊娠、肥満、インスリン抵抗性で増殖するというのはどういうことでしょうか?
人間の身体というのは上手くできたもので、インスリン抵抗性が体内で生じると、一旦はβ細胞を増殖させてインスリン分泌を増やすのです。
妊娠の場合は、胎児にブドウ糖を優先的に供給するため、母体ではインスリン抵抗性が生じます。
しかし、そのまま放っておくと、糖尿病になってしまうので、β細胞を増殖し、インスリン分泌を増やして対応しているのです。
肥満や糖尿病初期にインスリン抵抗性を生じた時も、同様にβ細胞は増殖し、インスリン分泌は増えます。
従来の説明ですと、インスリン抵抗性が生じると、β細胞を酷使してインスリンを分泌すると言われていましたが、実はそうではなく、β細胞を増殖してインスリン分泌を増やしているのです。
当然のことながら、β細胞を酷使しているから萎縮するのではなく、機能障害がどんどん進行して萎縮して行く訳です。
一旦は、β細胞が増殖し、血中のインスリンが増えたたデブも、糖尿病の罹病期間が長くなればなるほど、機能障害は進行し、β細胞数は減少し、インスリン分泌も減って行きます。
では、β細胞の増殖にインスリンが関与しているなら、インスリンを投与すればβ細胞は増えるのでしょうか?
と、考えがちですが、実は大して増えないのです。
インスリンアナログというのは100%ヒトインスリンに対し、インスリン受容体との親和性が低く(27%)、リン酸化誘発力や細胞増殖誘発能力が低いため(11~14%)、β細胞を増加させる能力がない、と考えられています。
と言うか、そもそもβ細胞の機能障害を止めないことには、結局はβ細胞は委縮して行くことになります。
膵臓だろうが筋肉だろうが皮下脂肪だろうが、人間の身体というのは、結局は同化が異化を上回った時しか細胞数は増えないのです。
(当たり前中の当たり前。)
だんだん煮詰まってきたところで、次回はサクっと、糖尿病を治してみましょう。
-つづく-
参考文献:
膵臓β細胞の新生と環境

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