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インスリンによる糖の取り込み

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ちはっす。

今回は、インスリンがどの様に身体に糖を吸収させているのか?という話です。
この辺のメカニズムが解っていないと、とてもじゃありませんが改善や寛解、ましてや完治など夢物語になります。

*前回までの話は、↓になっています。

  1. 糖尿病を治したい人が最初にやるべきたった一つの重要なこと

  2. 糖尿病とは何か?を最初に理解しなければ改善などできない

  3. インスリンとは何か?


インスリンによる糖の取り込み


前回の記事で述べました「インスリンの主な働き」の中で、「骨格筋による糖(グルコース)の取り込み」というものがあります。
骨格筋というのは、血糖の7割~8割以上を取り込む臓器なので、骨格筋が糖を取り込んでくれないことには、高血糖は何ともなりません。
これが働かないことにより、皆さんは毎日血糖値を眺めて「ヒーヒー」言うことになります。

骨格筋が糖を取り込む段取りというのは、簡単に説明しますと、

まず、我々が食事をします。
食事をすると、消化・吸収された糖は血液によって各臓器に運ばれます。
すい臓のβ細胞が糖を検知すると、インスリンが分泌されます。
ここから、身体は同化モードに突入して行きます。

β細胞から分泌されたインスリンは、血流に乗って、各臓器に運ばれます。
各臓器に運ばれたインスリンは、前回の記事「インスリンの主な働き」の様に各臓器に働きかけます。

骨格筋の細胞膜表面には、インスリン受容体というレセプターがあります。
このレセプターにインスリンが結合すると、シグナル伝達を開始します。
要するに、電源をオンにするようなイメージです。

インスリン・シグナル系の電源がオンにされると、あ~でもない、こ~でもないとシグナル伝達が開始され、最終的に細胞内に沈んでいたGLUT4という糖輸送体(グルコース・トランスポーター)が、細胞膜に移動して来ます。
この細胞膜に移動してきたGLUT4が糖を取り込みます。

ちなみに、「あ~でもない、こ~でもない」というインスリン・シグナル伝達というのは、まず、インスリン受容体への結合により内在するチロシンキナーゼが活性化され、自己リン酸化されます。
そのリン酸化チロシンにインスリンレセプター基質1(IRS 1)が結合し、このIRS1がリン酸化されると、リン酸化されたIRS1はホスファチジルイノシトール(PI)-3-キナーゼ(PI-3kinase)に結合し活性化をおこします。
活性化されたPI-3キナーゼはさらにプロテインキナーゼB(PKB)を細胞膜に引き寄せを活性化し、活性化されたPKBはGLUT4を細胞膜に移動させグルコースを細胞内に取り込む、という段取りになっていますが、こんなことは頭が痛くなるので、覚えなくてもいいです(笑)

ここで重要なのは、GLUT4というグルコース・トランスポーターです。


GLUT4(グルコース・トランスポーター4)とは?


グルコース・トランスポーター(糖輸送体)と呼ぶぐらいですから、これが血中の糖を細胞内に取り込んでくれる大元で、これがなければ話になりません。

GLUT4があるということは、GLUT1~GLUT3もあるのか?と言うと、あります。

GLUT4というのは、主に骨格筋、心筋、脂肪組織に存在し、インスリンにより反応します。

GLUT1は、主に赤血球に存在し、インスリンにも反応しますが、インスリンの有無に関わらず細胞膜上に存在し、糖を取り込みます。

GLUT2は、腎の尿細管上皮細胞および小腸の上皮細胞、肝細胞と膵β細胞に存在します。

GLUT3は、主に神経細胞に存在します。

1~4までの内、インスリンにより糖を取り込むのは、GLUT4だけです。
骨格筋というのは、糖を取り込む臓器の中では最大のものですから、普段から好き勝手に糖を取り込まれると、すぐに低血糖になってしまい具合が悪いのです。

逆に神経細胞は、インスリンの有無に関わらず糖を取り込みますから、高血糖状態が続くと過剰に糖を取り込んでしまい、神経障害が起こったりします。

すい臓のβ細胞に存在するGLUT2も、これが糖を取り込んでインスリンを分泌するというシステムになっていますから、当然のことながら、インスリンの作用に依存しません。

ちなみに、すい臓のβ細胞環境下が過剰な遊離脂肪酸に晒されると、このGLUT2は細胞膜に安定して留まれなくなってしまい、β細胞は血糖に応じて細胞に糖を取り込めなくなり、インスリン分泌応答は低下します。

β細胞環境に遊離脂肪酸濃度が上昇すると、転写因子FOXA2およびHNF-1αが核外に輸送されるため、Mgat4a遺伝子及びGlut2遺伝子の発現が障害されます。
Mgat4a遺伝子の発現が障害されると、この遺伝子は糖転移酵素N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ4a(GnT-IVa)をコードするので、この糖転移酵素が欠損します。
β細胞のグルコーストランスポーター(GLUT2)は、インスリンの作用に依存せず、糖転移酵素GnT-IVaにより糖鎖修飾を受け、細胞の表面に運ばれるので、この糖転移酵素が欠損すると、GLUT2は細胞の表面に安定してとどまれなくなります。

Pathway to diabetes through attenuation of pancreatic beta cell glycosylation and glucose transport.


この記事は、

インスリンの機能的低下とは何か?【インスリン抵抗性とインスリン分泌不足】

へ、続きます。


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コメント

筋トレと栄養摂取のタイミング

こんばんは、じわりじわりと耐糖能向上中、なんとか境界型に復活している61才、東郷です。
最近のシリーズはとても有り難いです。
大事なことは、何度でも強調していただいた方が凡人には助かります。

さて、本日の質問です。

私は、筋トレの際、糖質(15~20g)、BCAA(5g)を水に溶かしたものをチビチビ飲みながらやっています。またこれとは別に総合アミノ酸を合計5~8g、筋トレ前後に入れています。
そうすると、筋トレは最後まで頑張れます。ただ、終わった後お腹があまり空きません。

よく筋トレの後、40分以内に蛋白質を、とか2時間以内に糖質を、とか言われます。私もお腹が空かなくても、プロテインぐらいなら補給しようと思えばできますが、どうなんでしょう?

トレーニング中にそこそこ栄養補給しているので、トレーニング後は3時間でも4時間でもお腹が空くまで栄養補給は不要とは考えられないでしょうか?

筋トレ後、お腹が空かない時の理想的な栄養摂取の方法はどのように考えればいいでしょうか?

175cmで、ウエストは91cmです。王城メソッドの前、昨年秋は97cmでした。もう少しというか、もっと脂肪を減らしたいと考えています。

カロリー摂取を大きく減らして糖尿病が寛解したなどという記事などを読むと、筋トレ直後とはいえ、お腹が空かないのに食事をするのはどうかなあ、などと考えたりするんですが。

2018/06/02 (Sat) 18:48 | 東郷 #- | URL | 編集
Re: 筋トレと栄養摂取のタイミング

東郷さん、こんちは。

強度の高い運動直後というのは、割とお腹がすかないものです。

私もプロテインとブドウ糖ぐらいで済ましています。
その後、帰宅してしばらくしてから食べてますが、そんなに量は食べられません。
むしろ、トレーニングしない日の方がたくさん食べられます。

ただ、トレ直後というのは、少なくともプロテインぐらいは摂取した方が良いと思います。

2018/06/03 (Sun) 16:17 | 王城 恋太 #G9X5F8Nk | URL | 編集
わかりました!

有難うございます。
少なくとも、プロテイン牛乳割りぐらいはすぐに摂るようにします。

2018/06/03 (Sun) 19:05 | 東郷 #- | URL | 編集

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