インスリンの機能的低下とは何か?【インスリン抵抗性とインスリン分泌不足】

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ちはっす。

前回までのお話で、インスリンとはどんなものか?ということが、おおまかには理解できたと思います。(たぶん)

ここで、最初の「糖尿病とは何か?」という問いに戻れば、糖尿病とはひと言で言えば「糖質代謝異常」、ふた言以上で言えば、「インスリンの機能的低下により、細胞が糖を取り込めなくなる病気」、ということです。

今回は、ほんじゃぁその「インスリンの機能的低下とは何か?」というお話です。

*前回までの話は、↓になっています。

  1. 糖尿病を治したい人が最初にやるべきたった一つの重要なこと

  2. 糖尿病とは何か?を最初に理解しなければ改善などできない

  3. インスリンとは何か?

  4. インスリンによる糖の取り込み



インスリンの機能的低下とは?


インスリンの機能的低下というのは、以前の記事で簡単に説明していますが、インスリンの分泌不足、あるいはインスリン抵抗性がある状態ということです。

糖尿病というのは、この二つが相互に絡み合いながら憎悪して行きます。
重要なことは、糖尿病というのは進行性の病気であることです。
つまり、罹病期間が長ければ長いほど確実に悪化して行きます。

病院で糖尿病と診断されたら、この事実をまずは厳粛に受け止め、頭に叩き込むことです。
これを知っていれば、病院やネット記事で言われる「血糖コントロールを上手くすれば、健常者と変わらない生活ができます!」等と言う説明が、慰めにもならないことが理解できます。
そんなことができたところで、合併症の併発が先延ばしにできるだけです。

また、「きょうのレシピ」、「きょうの血糖値」とか「糖質制限ガー!」なんていうくだらないブログを書いている暇がないことも解ります。
もちろん、「なかなか痩せられない」とか「おやつがやめられない」なんていう、くだらない悩みもなくなります(笑)


インスリン抵抗性とは?


インスリン抵抗性というのは、簡単に言えば、インスリンが分泌されても体内でその働きが鈍くなる、あるいはなかなか働かなくなることです。

我々の身体では、インスリンがレセプター(インスリン受容体)に結合することにより、シグナル伝達が開始され、その下流のシグナリングにおいて様々な働きをしています。
解り易く言うと、インスリンがレセプターに結合することにより、大元の電源がONになり電流が流れ、次々にその下流の回路が起動し出す、というイメージです。

この仕組みは、骨格筋のみならず、身体中の様々な臓器で様々な働きが行われています。
インスリンが糖を取り込むだけと思ったら大間違いで、インスリンとは何か? で説明した通り、大まかに言っても、

1.骨格筋におけるグルコース、アミノ酸の取り込み促進
2.タンパク質合成の促進
3.肝臓における糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進・分解抑制
4.脂肪組織における糖の取り込みと利用促進
5.脂肪の合成促進・分解抑制



が、あり、細かく言えば説明しきれませんし、まだ解っていないこともたくさんあります。

例えば、シトルリンは肝臓においてインスリン抵抗性を改善する で説明しましたが、食後の血管拡張においてもインスリンが関係しています。

そもそもインスリンを正しく理解すれば、「インスリンは肥満ホルモン♪」なんていう与太話は恥ずかしくて書けません。
インスリンを出さないことが素晴らしいことなら、インスリン抵抗性やインスリン分泌不足こそ、おしっこちびるぐらいの喜ばしき状態です。
糖質制限とは、「馬鹿が書き、馬鹿が見て、馬鹿が喜ぶ。」ということをご理解頂けると思います(笑)

さて、そんな訳で、インスリン抵抗性というのは、この大元の電源のスイッチが入らない、あるいは入りにくくなることです。
これには様々な原因があり、解っていないことももちろんあります。
更には、一旦どこかで故障して放置すると、故障が故障を呼び込み、身体全体に波及して行きます。


インスリン抵抗性の原因


高脂肪食摂取は肥満の有無に関わらずインスリン抵抗性を高める


詳しくは上記記事を参照頂くとして、インスリン抵抗性が生じる主な原因は肥満や内臓脂肪による脂肪過多、とりわけ身体が恒常的に過剰な遊離脂肪酸に晒される時に起こります。

「身体が恒常的に過剰な遊離脂肪酸に晒される」というのは、肥満者に多いというだけで、痩せている人がそうならない保証はどこにもありません。
例えば、痩せていても内臓脂肪が多かったりすれば体内の遊離脂肪酸濃度は上昇しますし、高脂肪食も同じく上昇します。

ここで重要なことは、高血糖というのは、インスリン抵抗性(あるいは糖尿病と言っても良い)の結果ですが、血中で脂肪酸が過剰に上昇するということは、インスリン抵抗性の原因であるということです。
ですから、糖尿病治療というものを大枠で考える時に、高血糖だけに対処していても、永久に糖尿病は改善も寛解も完治もできません。

かくして、皆さんは病院では「痩せろ!」と言われ、カロリー制限と運動を勧められることになります。
もちろん、「痩せろ!」というのは「脂肪を減らせ」という意味です。


インスリンの分泌不足とは?


インスリンの分泌不足というのは、読んで字の如く、すい臓からのインスリン分泌が少なくなって行くことで、インスリン抵抗性よりも厄介です。
結局は、これが進行して行くことが「糖尿病は進行性の病気」であることなのです。

インスリンは、すい臓のβ細胞から分泌されますが、糖尿病患者の場合、このβ細胞の機能不全が進行して行き、アポトーシス(細胞死)が増え、結果β細胞が委縮し、インスリンの分泌が不足、ますます糖尿病が悪化、という悪循環になります。

実は、これが一般的に「糖尿病は完治できない」と言われる主な理由です。

しかしながら、この問題はそう単純ではありません。

まずは、我々の身体、あるいは臓器(筋肉や脂肪等、何でも良い)が、委縮する(小さくなって行く)時のメカニズムを考えてみる必要があります。
我々の身体が一定の大きさを保っている時というのは、身体の同化と異化のバランス(あるいは合成と分解)が釣り合っている時です。
一方が亢進し出すと、身体の大きさは変わります。
例えば、筋肉の同化が筋肉の異化を上回れば筋肉は大きく成り、逆なら小さくなります。
身体は、すべてこのバランスで大きくなったり小さくなったりします。
一方(同化や合成)が完全に停止すると、あっという間になくなってしまいます。

当然のことながら、すい臓のβ細胞も同様で、小さくなって行く(委縮する)時は、分解が合成(増殖)を上回っています。
増殖が完全に停止していたら、β細胞の様な小さなものはあっという間になくなります。

逆に言えば、それ故に、β細胞の委縮というのは徐々に進行して行きますから、糖尿病のグータラは「おやつがやめられない。」等とトボけたことを言いながら、テレビでも見て、鼻くそほじっていられます。
(もちろん、β細胞の委縮は進行して行き、きょうも日は暮れます。)

この辺のメカニズムは、以前の記事・インスリン分泌不全とβ細胞機能不全の改善は可能か? で紹介した、米国糖尿病学会の論文に詳しくあります。

β-Cell Deficit and Increased β-Cell Apoptosis in Humans With Type 2 Diabetes
(2型糖尿病のヒトにおけるβ細胞機能不全とβ細胞死の増加)



米国糖尿病学会の論文によれば、健常者と2型糖尿病患者では、β細胞の増殖能自体には差はないものの、

2型糖尿病の肥満症例ではアポトーシスの頻度は約3倍に増加し、 2型糖尿病の希な症例では、それぞれの対照群に対して10倍増加した。


と、あります。
つまり、増殖は衰えていないものの、分解(アポトーシス)が3倍から10倍に亢進しているので、結果β細胞が委縮して行く訳です。


インスリン分泌不足の原因


インスリンの分泌不足というのは、主にβ細胞自体のインスリン分泌能が低下する場合と、β細胞の細胞死による委縮による場合がありますが、どちらも原因は同じ様なものです。

まずは、β細胞自体のインスリン分泌能が低下する場合というのは、以前の記事で論文を紹介しています。

糖質制限は、なぜ耐糖能が悪化するのか?

Scientists show how fatty diets cause diabetes

Pathway to diabetes through attenuation of pancreatic beta cell glycosylation and glucose transport


研究者は、β細胞が高脂肪環境に晒されると、FOXA2およびHNF1Aという2つの重要な転写因子を妨害することを発見しました。
これらの転写因子の発現が低下すると、GnT-4a(グリコシルトランスフェラーゼ4a)と呼ばれる酵素の産生が低下します。
このGnT-4aの発現が低下すると、β細胞は血中の糖を感知して応答することができないことが解りました。

通常、β細胞は、 細胞膜に固定されたグルコーストランスポーター(Glut2)を用いて血流の糖をモニターしています。
食後、血糖が高くなると、β細胞はこの追加のグルコースを取り込み、インスリンを分泌することによって応答します。

ところが、 細胞膜におけるグルコーストランスポーター(Glut2)の適切な保持は、GnT-4aの働き(特定のglycan構造を有するタンパク質を修飾する)に依存しているので、GnT-4aの発現が低下すると、β細胞はGlut2を細胞膜に保持できず、糖を取り込めなくなり、結果、インスリンの分泌ができなくなる訳です。



次に、β細胞の機能不全→アポトーシスによる委縮の場合も、以前の記事で紹介しています。

糖尿病はなぜ完治できるのか?

Saturated Fatty Acid and TLR Signaling Link β Cell Dysfunction and Islet Inflammation


β細胞環境下に遊離脂肪酸濃度が上昇すると、とりわけ飽和脂肪酸であるパルミチン酸は、TLR4という細胞表面にある受容体タンパク質であるToll様受容体の一種を活性化します。
TLR4は、TLR4-Myd88というシグナル伝達経路を介し、サイトカインの一種であるケモカインを産生し、細胞から放出され、M1型マクロファージを膵島に呼び込みます。
M1型マクロファージは、インターロイキン1βやTNFαといった炎症性サイトカインを分泌し、膵島に炎症を引き起こし、β細胞の機能障害をもたらします。
そして、この炎症性サイトカインが更にケモカインの分泌を促進し、膵島の炎症は更に悪化するという悪循環になります。
この炎症により、β細胞のアポトーシス(死滅)が進んで行くことになります。



結局、どちらもβ細胞が高脂肪環境に晒されると起こる訳なのです。

かくして、糖尿病の皆さんは、病院で「痩せろ!」と言われ、カロリー制限と運動を勧められることになります。


この記事は、

骨格筋と肝臓におけるインスリン抵抗性とβ細胞機能不全との関係

へ続きます。



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