週三日しか運動しないのに何故食後高血糖にならないのか?という記事を以前に書きました。
良い子のみんなは覚えていると思いますが、簡単におさらいします。
まず、骨格筋というのは普通の人で、肝臓のグリコーゲン貯蔵量の約3倍ほど貯蔵しています。
これがアスリートともなると、なんと5倍ぐらい貯蔵しています。
ですから、体内に入って来た糖というのは、そのほとんどが骨格筋で消費されるのです。
骨格筋というのは、身体を動かす筋肉のことで、一般的に我々が「筋肉」と呼んでいるものです。
糖尿病で「運動しろ」と言われるのは、この筋肉を動かし糖の消費量を増やすことと、運動による脂肪減少を目的としています。
(脂肪減少によるインスリン抵抗性の改善)
さて、筋肉と一概に言っても、最も糖を消費するのはTypeⅡbという解糖系の速筋です。
筋グリコーゲンを大量に消費するような運動を行えば、身体は運動終了後も長時間にも渡り筋グリコーゲンを貯蔵しようとします(*補足参照)
ですから、この速筋を使い、かつ、この筋肉を大きくすれば身体が消費する糖はどんどん増えていきます。
で、インスリンの分泌異常でもなければ、その内、何を食っても食後高血糖にならなくなります。
上の条件を満たす最も効率的な運動は、高強度筋トレです。
有酸素運動では何故駄目か?と言えば、有酸素運動で使われる主な筋肉というのは酸化系の遅筋だからです。
尚且つ、有酸素運動で速筋が大きくなることはないどころか、やればやるほど身体はカタボリックに傾き、速筋は逆に小さくなっていきます。
したがって、長期間やり続ければ、糖を消費するという観点からは究めて効率の悪い身体が出来上がり、これを補おうとすると更に有酸素運動に時間をかけなくてはならないという悪循環に到ります。
で、ここからが本題なのですが、速筋を使う運動というのは高強度筋トレのような爆発的な高負荷をかける運動です。
では、速筋を大きくするにはどうすれば良いかというと、二つのポイントがあります。
一つは、食事です。
ただ、糖尿病で筋トレをやり始めたばかりの方は、食いまくるという訳にはいきませんから、なるべくタンパク質量を増やし、GI値の低い炭水化物を摂取するなど工夫が必要です。
二つ目のポイントは運動の強度です。
強度が一定であれば、いずれかの時点で筋肥大が起きなくなります。
初心者が筋トレを始めると、最初の内は順調に強度が上がっていきます。
それにつれ、筋肉もそこそこ付いてきます。
まぁ、これは初回ボーナスみたいなものです。
体型も明らかに以前とは変わってきますから、本人もご満悦です。
とは言え、客観的に見ればモヤシからプチ・モヤシ程度に変わったぐらいです。
で、だいたいこの辺りで強度がなかなか上がらなくなるという1回目の壁に当たります。
さて、この壁を突き破るにはどうすればいいのかと言いますと、
一つは、思い切って1週間ぐらい完全休養するという手があります。
完全休養して、十分に栄養を摂った後再開すると、意外とすんなり強度が上がるということがあります。
ただ、必ずしもそうなる訳ではありません。
もう一つは、無理矢理強度を上げるという方法があります。
これは例えば、
仮にベンチプレス50kg10レップがMaxとします。
なかなか50kgの壁が破れません。
そういう時、敢えてそれ以上の重さでやります。
50kg10レップがMaxなら、60kgなら6~7レップはできます。
更に65kgなら3~4レップはでき、70kgなら1~2レップはできるので、レップ数に拘らずガンガンやり、高重量に慣れるのです。
更に、75kgが1レップもできないとしたら、それをフォーストレップでやるのです。
フォーストレップというのは、以前に説明しましたが、誰かにサポートしてもらいながらやる方法です。
この場合、サポートする人というのは、上級者かまたはインストラクターでないと危険です。
高重量に慣れるという方法は、かなり使える手です。
あ、あと一つの方法として、壁に当たろうが跳ね返ろうが気にせずやり続けるという方法もあります。
もう頑固一徹やり続ける。
その内、今の重量が軽く感じられる時が来ます。
いずれにせよ、筋トレを始めた良い子のみんなは、来年の夏は海やプールでブイブイ言わせちゃって下さい(笑)
*補足:
Rapid exercise-induced changes in PGC-1α mRNA and protein in human skeletal muscle
http://jap.physiology.org/content/105/4/1098/F1.expansion.html
筋グリコーゲンが枯渇した状態から回復までというのは、糖質を大量に摂取した場合でもおよそ24時間かかります。
摂取する糖質が少ないと、52時間経過しても回復しません(上記サイトご参照)
実は、これは「糖質制限しながら高強度で筋トレができない」理由の一つです。
糖質制限というのは、枯渇したグリコーゲンを糖新生で賄おうということですから、超回復を待っていたら、日が暮れるどころか、埒があかない訳です。
結果として、今以上の重いものを上げようとすると、とんでもなく時間を有することになり、いつまで経っても筋肥大できないということになります。

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