
ちはっす。
以前に記事で書きましたが、脂肪というのは、それ自体が毒ではありません。
我々は、通常、エネルギーの産生には脂肪に頼っています。
特に安静時ではほぼ90%を脂肪に頼っています。
しかしながら、過剰な脂肪の蓄積、過剰な脂肪の摂取は代謝に異常を来たします。
食べ物、と言うか栄養成分は、ほとんどのものは過剰に摂取すれば健康になるどころか害にしかなりません。
例えば、ビタミン類においても、ビタミンA、D、E、K等の脂溶性ビタミンは、水溶性と違い尿中に排泄されないので、過剰に摂取すれば副作用があります。
今回ご紹介するのは、過剰な飽和脂肪酸がジアシルグリセロール(DAG)やセラミドという生理活性脂質を蓄積し、インスリン抵抗性を誘導する、という理化学研究所の発表です。
肥満によるインスリン抵抗性の新しい分子機構を解明
-糖尿病などの新たな予防・治療法に貢献-
ジアシルグリセロール(DAG)やセラミドがインスリン抵抗性に関連するという論文自体は、世の中にたくさんあるのですが、その詳しい分子機構はイマイチハッキリと解っていませんでした。
Ceramides in insulin resistance and lipotoxicity
上記は、Progress in Lipid Research に掲載されている論文で、過剰な脂肪の蓄積が末梢組織におけるインスリン作用を阻害する2つのメカニズムを提唱しています。
第1に、脂肪細胞がその貯蔵能力を超えると、脂質貯蔵に適していない組織に脂肪が蓄積し始め、インスリンシグナル伝達を阻害する。(内臓脂肪、異所性脂肪)
第2に、肥満は慢性炎症状態を誘発し、脂肪細胞または脂肪組織に浸潤するマクロファージから放出されたサイトカインはインスリン作用を阻害する。
スフィンゴ脂質であるセラミドは、過剰な栄養素(飽和脂肪酸)および炎症性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、TNFα)の両方をインスリン抵抗性の誘導に結びつける中間体と推定される。
他にも、Cell Metabolismに掲載された論文では、
Inhibition of Ceramide Synthesis Ameliorates Glucocorticoid-, Saturated-Fat-, and Obesity-Induced Insulin Resistance
セラミドが、いくつかの異なる病理学的代謝ストレス(グルココルチコイドおよび飽和脂肪酸)をインスリン抵抗性の誘導に結びつける共通の分子中間体であることを示す。
と、言っています。
グルココルチコイドというのは、インスリンに対する拮抗ホルモンで、糖尿病にも密接に関係しています。
グルカゴン、アドレナリン等のホルモンも、グルココルチコイドが存在しないとホルモンの働きが起きません。
ステロイド糖尿病も、グルココルチコイド等のステロイド系抗炎症剤の副作用です。
論文では、グルココルチコイドによるセラミドの過剰産生を抑制すれば、ステロイド糖尿病発症を防ぐ可能性がある、と言っています。
セラミドの蓄積と言えば、アスリートとグータラの異所性脂肪の違いについて、以前に記事にしています。
骨格筋に異所性脂肪が貯まるのにインスリン感受性が高い?!アスリートパラドックスとは?
以前の記事、わずか3日間の高脂肪食摂取で骨格筋のインスリン感受性は低下するでは、わずか3日間の高脂肪食摂取が骨格筋の異所性脂肪を増殖させ、インスリン抵抗性が始まる、というお話をしました...
同じ様に異所性脂肪が存在するマラソンランナーとグータラですが、マラソンランナーはインスリン感受性が高いにも関わらず、グータラではインスリン抵抗性が惹起されます。
その違いというのは、正にセラミドの蓄積ということです。
要するに、運動しないグータラというのは、糖尿病の予防にも改善にもならないということなのです。
関連記事:
すい臓における脂肪酸とケトン体の長期間の曝露はβ細胞機能を阻害する
最近の糖質制限業界は、狂信的なカルト集団と「炭水化物摂取もほどほどに抑えましょう。」という常識的なグループと、徐々に分かれつつあります...
糖質制限ダイエットは痩せても体組成は肥満型になる!
今回は、久々に糖質制限についての話です...
飽和脂肪酸は妊娠女性の耐糖能を障害する【妊娠糖尿病と飽和脂肪酸】
【悲報】糖質制限シリーズです。糖質制限ネタを書くと、何故だかブログのアクセスが一気に増えます...
総カロリーの55%を脂肪摂取にすると5日間で骨格筋の糖代謝に異常を来たす
日本はゴールデンウイークらしいです。糖尿病ネットワークにも↓の記事がありました...

何か押してけ!↓

2型糖尿病の完治を目指す会
糖尿病の完治を目指す人と完治した人が集まってます。

モンスターファクトリー・オンラインショップ
おまえら、たまにはここで何か買って下さい。