
ちはっす。
1998年以降、透析導入の原因として最も多い疾患は、糖尿病性腎症だそうです。
慢性腎臓病の原因疾患
上記サイトによれば、その原因となるのが慢性的な高血糖と高血圧ということです。
更に、Clinical and Experimental Hypertension という学術誌に掲載された論文によれば、腎機能が正常で6年間追跡可能であった男性303名を対象とした調査を行った結果、肥満、高血糖、高血圧、脂質異常、メタボリックシンドロームのうち、慢性腎臓病発症に最も高い危険因子は、やはり高血糖と高血圧でした。
Hypertension and hyperglycemia and the combination thereof enhances the incidence of chronic kidney disease (CKD) in middle-aged and older males
どれぐらいの危険度かと言いますと、高血圧と高血糖のどちらでもない群に比べて、高血圧のみの群では3.8倍、高血糖のみの群では3.9倍、高血圧と高血糖の両方の群では、なんと7.2倍となっています。
高血糖状態は、全身の血管にダメージを与えることが知られています。
腎臓は糸球体という細い血管の集合体ですから、当然これらの血管も傷つきダメージを受ける訳です。
とは言え、ここで素朴な疑問が沸きます。
通常、我々の身体というのは、傷つけば修復されます。
擦り傷を負っても、しばらく放っておけば自然に治ります。
血管とて傷ついても治ります。
そうでなければ、一旦出血したら血が止まらなくなってしまいます。
何が違うのかと言えば、いろいろと違いがあります。
まず、第一に、「慢性的な高血糖状態」、つまり、頻繁に傷つくことです。
皮膚の表面の傷においても、同じ個所が頻繁に傷ついたり、大きな怪我を負えば、傷跡が残ったり、表面が線維化して固くなります。
アブドーラ・ザ・ブッチャーの額を思い浮かべてもらえると解り易いかもしれません。
血管にこのようなことが起きると、表面が固くなって拡張しにくくなったり、血管が詰まったりしてしまいます。
更にまずいことに、慢性的な高血糖状態というのは、糖代謝異常、つまり糖尿病ということですから、インスリンの作用不足になっており、身体の修復や同化作用が弱まり、傷も治り難くなっています。
インスリンは、インスリン受容体に結合することにより、下流のインスリンシグナル伝達系が作動し、体内で様々な働きをしています。
言わば、インスリンが受容体に結合することにより、電源がオンになり、いろんなものが動き出すというイメージです。
糖代謝が異常になり、インスリン作用不足になると、インスリンシグナル伝達系が減弱し、これらのものが動かなくなってしまいます。
例えば、下記の The Journal of Clinical Investigation に掲載された論文では、
糖尿病患者は、重症の尿路感染症を発症するリスクがより高い。
細胞内インスリンシグナル伝達経路が損なわれた場合、抗菌防御も損なわれ、実験的に尿路に導入された尿路感染性大腸菌を効果的に処理することができないことが実証されている。
これらの所見は、腎臓の抗菌防御がインスリンに依存し、糖尿病に関連する尿路感染症が、自然免疫のこれらの主要なエフェクターの発現の減少により生じるという仮説を強く支持する。
と、言っており、腎臓の抗菌防御ですらインスリンに依存している訳です。
Why are diabetics prone to kidney infections?
これらの知見から、何が解るのか?と言いますと、
単に血糖値を下げたからと言って合併症から解放されるほど世の中甘くはない。
ということです。
つまり、根本である糖代謝の異常を改善(インスリンの作用不足を解消)し、血糖コントロールも正常になって初めて様々な合併症のリスクから解放されるということです。
糖代謝異常には目を瞑り、血糖値を下げることだけに一喜一憂するのは、インスリン療法、投薬、糖質制限等にすべて共通することです。
インスリン療法、投薬は、単に薬剤で血糖値を下げているだけですし、糖質制限は糖質を摂らないことで血糖値が上がらないだけで、両者とも糖代謝異常が改善される訳ではありません。
単に、血糖値が上がるよりは上がらない方が良いと言うだけで、根本の解決にはなっていません。
例えば、「糖質制限を行うと血糖コントロールが良好になり、合併症から解放される」という主張が、ただの願望や思い込みであることは、次の論文を読めば、ただちに理解できます。
Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet
この論文は、PNASという基礎研究の分野では米国で最も権威のある学術誌に掲載されたものです。
論文によれば、低炭水化物・高脂肪食というのは高炭水化物食等に比べると、大動脈における動脈硬化の範囲が有意に広く、血管再生のためのマーカー細胞の数が有意に低下したという結果になりました。
つまり、血管障害が起きても血管再生が起こりにくいので、血管死や心血管イベントにつながって行くということで、
我々の食餌誘発性アテローム性動脈硬化症モデルでは、低炭水化物・高脂肪食が、骨髄および末梢血の両方における内皮前駆細胞の数の実質的な減少を誘導することを見出した。
と、語っています。
代謝の異常が慢性腎臓疾患を憎悪させるというのは、最近発表された東京医科歯科大学の論文にもあります。
慢性腎臓病の新たな治療標的としてエネルギー不全の感知障害を発見
-慢性腎臓病の新たな治療法開発へ期待-
この論文では、CKD(慢性腎臓病)の腎臓組織を解析したところ、CKDの腎臓ではAMP/ATP の比率が上昇しているにも関わらず、CKD による尿毒素の蓄積や体内環境の酸性化などによってAMPKが活性化されないということを見出しました。
これは、簡単に言えば、腎臓がエネルギーを使いAMP/ATP比が上昇しても、AMPKが活性化されないので、AMPKのシグナル伝達が起きないため、修復や同化ができず、腎臓はモヤシ化して弱って行く一方、ということです。
かくも、代謝の異常というのは、ありあらゆることが悪循環につながり、日々気が付かない内に進行して行きます。
そして、気が付いた時には、もう遅いのです。
そもそも、糖尿病の皆さんは、病院で「糖尿病」と解るまで、よもや自分に代謝の異常が進行していることに気が付かなかったでしょう。
私も気がつきませんでした(笑)
しかしながら、内省的な人は、それを糖尿病治療に生かすことができ、あまつさえ完治することができます。

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