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血糖コントロールだけでは糖尿病合併症は予防できない【欧州糖尿病学会-Diabetologia Sep.2019】

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ちはっす。

糖尿病になると腎臓疾患、網膜症、神経障害等の合併症のリスクが付きまといます。
実際のところ、糖尿病それ自体は痛い訳でも痒い訳でもないので放って置かれがちですが、合併症は何年も、場合によっては何十年もかけ進行して行きます。

糖尿病合併症というのは、高血糖が媒介する細胞損傷の根底にあるメカニズム(糖化最終産物の形成、酸化ストレスの増加、ミトコンドリア機能障害)が原因であるため、予防のためには血糖コントロールが重要であると考えられています。

糖尿病合併症は予防できる 良好にコントロールして元気に生きよう|ニュース・資料室

糖尿病治療の目標は、糖尿病患者さんが健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)をが維持し、健康な人と変わらない寿命を確保すること...



糖質制限というのも、この考えに準拠しています。
簡単に言えば、

高血糖さえ防げれば合併症にならないんだから、代謝異常には目を瞑っても血糖値さえ下げれば良い。

という考え方です。

しかしながら、困ったことに最近の研究では、血糖コントロールだけでは合併症は予防できないということが解って来ました。
その辺のところが、欧州糖尿病学会の学会誌、Diabetologiaの最新号(2019年9月)に論文が掲載されています。

New insights into the mechanisms of diabetic complications: role of lipids and lipid metabolism

Review ACCORD Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes FIELD...



そもそもこの研究は、先行論文の調査によって示される結果が、血糖管理だけでは糖尿病合併症を予防できていないという点を出発点にしています。

Collectively, these studies suggest that glucose alone is not responsible for diabetic complications, especially in individuals with type 2 diabetes.

まとめると、これらの研究は、特に2型糖尿病の個人では、グルコースのみが糖尿病合併症の原因ではないことを示唆しています。



むしろ、それらの原因は、糖尿病性腎疾患、網膜症、神経障害の発症と進行の根底にある脂肪組織の脂肪酸代謝に影響を与える肥満、高血圧、脂質異常症、炎症、インスリン抵抗性などの要因にあります。

Rather, responsibility lies with a cluster of factors, including obesity, hypertension, dyslipidaemia, inflammation and insulin resistance, which have an impact on the adipose tissue fatty acid metabolism that underlies the onset and progression of diabetic kidney disease, retinopathy and neuropathy.



要するに、2型糖尿病の血糖コントロールの改善にもかかわらず糖尿病合併症のリスクが持続するという事実は、そもそもの代謝異常に原因があるのではないか?ということです。

例えば、代謝異常により、中性脂肪やコレステロールが異常に増加したりしますが、複数の臨床研究により、糖尿病性腎疾患の病態生理への主要な寄与因子として脂質異常症(血中の中性脂肪、コレステロールが増加)が指摘されています。

Cardiovascular Disease and Diabetic Kidney Disease

脂質異常を伴う糖尿病患者に、脂質低下薬であるフェノフィブラートを投与すると、アルブミン尿を減らし、腎機能の低下を遅らせることが研究で解っています。

Effects of fenofibrate on renal function in patients with type 2 diabetes mellitus: the Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes (FIELD) Study

腎臓疾患における脂肪の関与というのは、以前から指摘はされています。

腎症と脂質代謝異常

更に新たなエビデンスでは、脂質異常症、あるいは血中の脂質の増加は、糖尿病性神経障害の主要な原因であることを示しています。

Obesity and hyperlipidemia are risk factors for early diabetic neuropathy

Elevated Triglycerides Correlate With Progression of Diabetic Neuropathy

最近の研究では、中性脂肪の増加は2型糖尿病の神経障害の進行と相関し、肥満と全身性脂質異常症は神経障害を発症するリスクの増加と独立して関連していました。

脂質の低下療法は下肢切断のリスク低下と関連しており、脂質の低下が糖尿病性神経障害に有益な効果をもたらす可能性があることを示唆しています。



更に、

台湾で最近実施された大規模な研究では、年齢および性別が一致する対照を持つ2型糖尿病患者18,000人以上が、スタチン(コレステロール低下剤)の使用により網膜症のリスクが大幅に低下し、黄斑浮腫の発生率が低下しました。
更にこの研究では、糖尿病性神経障害および足潰瘍の発症リスクが大幅に低下しました。



Association of Statin Therapy With Prevention of Vision-Threatening Diabetic Retinopathy
(スタチン療法は、2型糖尿病と脂質異常症の台湾人患者における糖尿病性網膜症のリスク低下と視力を脅かす糖尿病性網膜症の治療の必要性と関連していた。)

これらの結果は、循環脂質が「微小血管」合併症に明確な影響を与える可能性があることを示唆しています。
つまり、血中に増え過ぎた脂肪酸、コレステロールが合併症の原因となっている訳です。


そもそも何が原因なのか?


血中に循環する脂肪酸を直接調節するのは、インスリンです。
そのため、低インスリンレベル、およびインスリン抵抗性は、血中の脂肪酸増加に直接影響します。

インスリン分泌不足あるいはインスリン抵抗性というインスリンの機能低下による代謝異常は、血中のグルコースも増加(高血糖)するのですが、それ自体、つまり血糖値の上下のみを目的化しても、合併症は防げないということです。

従来の治療、インスリン製剤や薬を服用しても血糖値を下げることはできますが、インスリンの機能低下による代謝異常が改善する訳ではありません。
それは糖質制限でも同じことです。

インスリンというのは、その下流のシグナル伝達も含めれば、我々の身体の代謝、恒常性にとって究めて重要なホルモンで、一つのボタンの掛け違えがありとあらゆる障害につながって行きます。

糖尿病というのは、このインスリンの機能低下による代謝異常ですから、根本的にはこの代謝異常を改善しなければ何も防げないということです。

では、その代謝異常を改善するにはどうすれば良いのか?という点については、下記記事につながって行きます。

糖尿病はなぜ完治できるのか?

一般的に「糖尿病は治らない」と言われています。とは言え、その理由について明確に説明されているものを見たことがありません ...



世界の最先端では既に糖尿病は治っている!糖尿病完治とは何か?

糖尿病の皆さんは一度は「できるなら糖尿病を完治したい。」と思ったことがあるのではないでしょうか?...



それでは、皆さん、ごきげんよう。



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Theme: 糖尿病 | Genre: 心と身体

コメント

王城さんこんにちは
ついにこういう記事でたんですね。
糖質制限は糖毒ドクターがはやらせる前からやっている人達もいて、hba1cは正常値でも脂質異常症、高血圧から合併症になり、人工透析、シコセツダンになられた方もいると話をききました。
糖質制限信者は糖尿病だけが合併症起こる病気だと思ってるようで本当呑気な人達だなと思います。
でも王城さんのブログのおかけで随分糖質制限の実態が広まり、ユーチューバーでも糖質制限は危ないと動画流してる方もいます。

2019/09/18 (Wed) 05:54 | 雅 #Cv2s2L.A | URL | 編集

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