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低強度の有酸素運動よりも短時間・高強度運動の方が脂肪が減る理由

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ちはっす。

前々回の記事では、サクッと太鼓腹を何とかする方法を紹介しました。

お腹の贅肉落としたい?OK!落としましょう!【1日10分の運動でお腹の贅肉とさようなら!】

知らん間に今年の夏も終わりました...



記事中では、運動の方法として短時間の高強度インターバルトレーニングを紹介致しました。
今回は、補足の記事として、何故低強度の有酸素運動よりも高強度の運動の方が脂肪が減るのか?という点について、より詳細に原理を紹介します。

やはり何事も、たまたま答えが合っていたという場合より、理屈を解っていた方が応用が効きます。
糖尿病治療に応用すれば、サクッと治すことができます。


脂肪が使われたり、合成される仕組みを理解しよう!


まずは我々の身体が脂肪を使ったり、合成する仕組みについて大まかに理解します。
細かいことを言い出すとキリがないのですが、より詳細に知りたい方は生化学の教科書を読んで下さい。
まずはモデルを理解することが肝要です。

以前の記事でも説明していることが多いですが、どうせ忘れてるでしょうから、もう1回読んで下さい(笑)


短時間の高強度運動で脂肪は使われるのか?


まずは、やはり、この点の無理解がデブを長時間走らせるという難行苦行に導きます(笑)
巷で言われる「脂肪燃焼は低強度の有酸素運動」というのは、「低強度の運動の方が脂肪をエネルギーとして使われる割合が多いから」というのが、その理由です。

「脂肪を使う割合が多い」というのは、それはそれでその通りなんですが、だからと言って、「有酸素運動の方が脂肪が減る」とは言えないのです。
何故なら、この命題には2つの重大な点が考慮されていないからです。

第1に、脂肪を使う割合が多いからと言って、脂肪が使われる絶対量が多いとは限りません


身体のエネルギーって、そもそも何なの?


このブログ愛読者の方なら既にご存じとは思いますが、我々の身体を動かすエネルギーの源というのは、ATP(アデノシン3リン酸)です。
ATPは、アデノシン(アデニンという塩基にリボースが結合したもの)に3つ連結したリン酸基がくっついています。
このリン酸同士の結合を高エネルギーリン酸化結合と言って、非常に不安定な結合なんですが、それ故に結合のために高エネルギーを伴っています。
ATPからリン酸が一つ切断され、切断されたリン酸基が他の分子とより安定な結合をした場合、 エネルギーが余剰となり、この余剰となったエネルギーを我々は使っています。

で、我々が運動を行うと、このATPを消費することになります。(と、言いますか、何をやるにも、生きている限りATPを消費します。)
ただ、運動を始めると、筋中に蓄えられているATPの量では、数秒も持ちません。
よって、身体は常にATPを作り出しながら運動することになります。
このATPの作られ方が問題となる訳です。


運動中にATPが作られる方法を理解しよう!


運動中にATPを産生する方法はおおまかに3つあります。

  1. クレアチンリン酸によるATPの再合成

  2. 糖によるATPの合成(解糖系)

  3. 脂肪によるATPの合成(酸化系)

クレアチンリン酸によるATPの再合成というのは、ATPからリン酸が一つ取れると、アデノシン2リン酸(ADP)になるんですが、この時、ADPに筋中に蓄えられているクレアチンリン酸をくっ付けて、手っ取り早くADPからATPに再合成するというものです。
素早くATPを合成できますが、筋中のクレアチンリン酸にも限りがあるという難点があります。

この3つの合成は、割合こそ違いますが、常に並列で動いています。
基本的に我々の身体というのは、マルチタスクなのです。

例えば、10秒以内の短時間の高強度運動(全力疾走みたいな運動)でも、酸化系のATP供給は17%ほどあり、残りがクレアチンリン酸系と解糖系で半々ぐらいです。

酸化系によるATPの供給は、時間が長くなるにつれ増えて行き、30秒ぐらいまでの運動で20%、60~90秒で既に半分を超え55%、120秒を超えると70%ぐらいになります。

運動が120秒以上継続すると、既に酸化系の割合は70%を超える訳ですから、こうなると、低強度の運動の方が脂肪酸化の割合が多いと言えども、大した違いが無いように思えて来ます。
実際、低強度の有酸素運動と短時間の高強度運動とで、脂肪の減り具合を調査した論文は、いくつかあります。

HIIT vs. Continuous Endurance Training: Battle of the Aerobic Titans

上記記事は、数々の論文をまとめた記事です。

最近の研究では、HIIT(高強度インターバルトレーニング)で起こる心臓血管の適応が、有酸素運動で起こるものに似ており、場合によっては優れていることを示している。

多くの研究は、高強度インターバルトレーニングが有酸素運動よりも最大有酸素能力の改善が優れていることを示唆している。
(このため、一部の心臓リハビリセンターでは、心臓病患者の高強度インターバルトレーニングが開始されています。)

ミトコンドリアのサイズと数の増加は、有酸素運動の様な慢性的な持久力トレーニングからのみ起こると長年考えられてきましたが、高強度インターバルトレーニングの方がより増加、活性化します。
(強度の高い運動は、AMPKを介したシグナル伝達をより活性化する。)

これに伴い、脂肪酸化または脂肪燃焼はHIIT(高強度インターバルトレーニング)の方が有意に高く、HIITの代謝上の利点は、トレーニング終了後、酸素消費量(したがってカロリー消費量)は、筋細胞が細胞内の生理学的および代謝的因子を運動前レベルまで回復させるので、上昇したままで、これは運動が停止した後に、より高いおよびより長いカロリー燃焼に変換されます。
(つまり、高強度の負荷による筋破壊が修復されるまで、エネルギーを使い続ける。)



特筆すべきは、ミトコンドリアの質と量というのは、普通に考えると、脂肪酸酸化の割合が多い低強度の有酸素運動の方が増加・活性化するのではないか?と思えますが、これも高強度運動の方が優れています。
この点についても、いくつかの論文が同じ結論です。

Exercise training intensity is more important than volume to promote increases in human skeletal muscle mitochondrial content
(骨格筋のミトコンドリア含有量の増加には、トレーニングの量よりも強度が重要)

Superior mitochondrial adaptations in human skeletal muscle after interval compared to continuous single‐leg cycling matched for total work
(骨格筋の優れたミトコンドリア適応には、運動強度が重要な決定要因)


何でこんなことが起こっちゃうのかと言いますと、先に紹介した論文では「強度の高い運動は、AMPKを介したシグナル伝達をより活性化する」と、サラッと述べています。
AMPKというのは、ATPが消費され、→ADP(アデノシン2リン酸)→AMP(アデノシン1リン酸)と変化して行き、結果AMPが増加することにより活性化する酵素で、代謝における最も重要な酵素です。

実は、これこそが、冒頭に述べた「この命題には2つの重大な点が考慮されていない」という2番目の論点です。
つまり、「有酸素運動ガー!」という話は、代謝におけるシグナリング(シグナル伝達)により身体がどう変化しているか?という点については、全く欠けた話なのです。


総量として脂肪が減るには、脂肪の合成と脂肪の消費が相互に関係する


我々の身体というのは、脂肪を合成したり、脂肪を消費したり、いろいろと忙しく動き回っています。
総量として脂肪が減るということは、脂肪の消費が脂肪の合成(食事による増加も含む)を上回った場合のみです。

脂肪の合成と脂肪の消費というのは、同じコインの裏表みたいなもので、相互に関係し合っています。
例えば、脂肪合成における律速酵素(これが無ければ始まらないという酵素)は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)です。
この酵素が体内で増加すると、脂肪合成も亢進します。
この過程で、ACCはマロニルCoAを合成し、マロニルCoAレベルが増加すると脂肪酸酸化が阻害されます。
つまり、脂肪合成が活発になると、脂肪の消費が低下する訳です。

この関係は逆も成り立ちます。
脂肪の消費が活発になると、脂肪の合成が低下するのです。

では、そもそもの脂肪合成の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼの発現は何によって調節されているかといいますと、AMPKなのです。(AMPKが増加するとアセチルCoAカルボキシラーゼは阻害される。)

この関係をまとめると、以下の様になります。

エネルギーを消費(ATPを消費)

AMPKが活性化

アセチルCoAカルボキシラーゼが阻害

マロニルCoAの産生が阻害

脂肪合成が低下(脂肪酸酸化が亢進)

そこで次の論文が登場します。


アセチルCoAカルボキシラーゼ不活性は運動強度に依存する


Effect of exercise intensity on skeletal muscle malonyl-CoA and acetyl-CoA carboxylase
(運動強度が骨格筋マロニルCoAおよびアセチルCoAカルボキシラーゼに及ぼす影響)

要旨:

マロニルCoAはアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)によって合成され、脂肪酸酸化の阻害剤です。
運動は骨格筋マロニルCoAの低下を引き起こします。
これには、ACCの不活性化とAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性の増加が伴います。
この研究は、骨格筋におけるACCの酵素動態、マロニルCoAレベル、およびAMPK活性に対する運動強度の影響を判断するために設計されました。

(中略)

大腿四頭筋におけるACC活性は、激しい運動中にのみ減少しました。
短期運動中のACC不活性化の程度は運動強度に依存すると結論付けます。



更に、論文は、

運動は、最高強度の運動中にのみ、単収縮解糖繊維のACC動態を変化させました。
これは、運動中に見られるACCの不活性化が筋肉収縮の結果であるという追加の証拠を提供します。



と言っています。
つまり、筋収縮(ATP消費によるAMPKの活性)が最高強度になる時、ACC不活性→マロニルCoA減少が最大になり、これは同時に脂肪の利用(脂肪酸酸化)を強力に促進するということです。


結論


ちんたら歩いてる場合じゃないよ(笑)



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